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2016.09.12 Monday

最近のCPD、その3、品木ダム&中和工場の現地研修

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    ひとつ前の記事の八ツ場ダムと一連の研修会で、同じ吾妻川の上流、草津温泉のたもとの品木ダムへと行きました。

     

    草津温泉に代表される湯川などの酸性河川を、中和する事業を実施しています。ここが世界でも最初の事業です。

     

    詳しくは、下記ページをご覧ください。中和事業のことをはじめ、その根源である酸・アルカリについても、わかりやすく整理されています。

    中和事業とは | 品木ダム水質管理所 | 国土交通省 関東地方整備局

    品木ダム - Wikipedia

     

    ごく大雑把に書きますと、主に火山の硫黄を起源とする硫酸系の酸性水(ph1-2程度)に、石灰粉を投入して中和(ph5-6程度)させ、その中和生成物を品木ダムでせき止めてそこから浚渫する、という事業です。

     

    この事業が行われる前は、吾妻川は「死の川」と呼ばれ、魚が棲めない川であっただけでなく、コンクリートや鋼材の橋脚や護岸は数年で腐食してしまう状況でした。

     

    弊社は構造物(鋼構造物&コンクリート)の維持管理を専門のひとつとしており、さらに、この吾妻川系のいくつかの発電水路トンネルに仕事で関係したことがあり、正直なところ八ツ場ダムより関心がありました。

    中和工場です。ほんとうに草津温泉のすぐ近所です。

    草津温泉のすぐ下流で酸性の強い湯川の水をくみ上げ、石灰粉と混ぜています。上三本は石灰の備蓄サイロです。

     

    工場内で石灰粉と混入させた河川水を、再び湯川へと投入しています。下の写真はその投入口の橋を下流から眺めた状況です。

    ここから下流の品木ダムに至るまでの間に、ゆっくりと中和反応が進みます。

    パッと見ではやっていることは簡単そうなのですが、phの濃度管理に係る石灰の投入量はpHを監視しながら、きめ細かく調整されているそうです。

     

    中和工場に併設されている展示コーナーで、未中和の湯川河川水による腐食の実例を観察。コンクリートだけでなく、ステンレスといえど、強酸性ではぼろぼろです。

     

    中和に使う石灰石は、上写真の叶山鉱山で採取し、そこから地中ベルコントンネルで一旦秩父まで運ばれて、そこからこの中和工場まで陸送するそうです。

    ちなみにこの鉱山とベルコンは、太平洋セメント(旧秩父セメント)のものです。群馬と埼玉の県境の地図を見てもらうとそのトンネルルートが山中にかかれています。下記ページもご参照ください。中和とは直接関係ないですが地質屋としては興味津々です。

    秩父太平洋セメントベルトコンベアを追え!

     

    中和工場から約5km下流の品木ダムのダム湖です。「上州湯の湖」と命名されています。

    このダムは洪水調整のダムではなく、あくまで中和事業による生成物を堆積させるためだけという、全国でも珍しいダムです。このコバルトブルーの不思議な色は、そのような中佐生成物が溜まっているためです。

    写真奥では中和生成物の浚渫作業を行っています。脱水の後、コンクリート固化材を混ぜた上で、近傍の斜面に盛り立て処理をしています。

    中和事業を実施している限りは、ずっと続ける必要があり、降雪期を除いてほぼ年中実施しているとのこと。その弛まない歩みには頭が下がります。

     

    以下、余談になりますが、

    八ツ場ダム計画は、酸性河川影響のため一旦は頓挫しましたが、中和事業がうまくいったことで再度持ち上がった経緯があります。

    このことを指して、また、恒久的に事業を実施し続けなければならない点も含め、あたかもマッチポンプのように悪く評価する方がいらっしゃるようです。しかし中和事業そのものは八ツ場ダムに止まらず流域へ利する点が多いので、決してそうではないと考えます。

     

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